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今作へ寄稿文をいただきました!
逃走してもいいじゃない、と思える
パフォーマンス!
ダンス研究者 宮川麻里子
うえもとさんの舞台をいくつか見て思うのは、いい意味で
非常にバカバカしいという印象とともに、それでもどこか憎めいない、愛のような、温かい視線が感じられるということだ。大人が全力でお化け屋敷を小学校使ってやっちゃうとか、公園の中で魔法の調味料だかなんだかを探す小芝居を全力でやっちゃうとか、一言で表してしまえばくだらないこと限りなし、なのだが、見る人はなぜかその世界観にハマり、笑い、(人によっては感動し?)、ついついまた見たくなってしまう。
人は演劇に、明確な物語やテーマを、あるいは意味を求め
がちである。でもそんなふうにいつも何かを生産できるとは
限らないのが人生なのではないか。全力で無駄なことをやったっていいし、無為にエネルギーを消費したっていいのだ。『逃げる男』は、4人の男たちの人生からの逃走劇をセリフとダンスで表したものだが、彼らの悶々とくだらないことで悩むだけの日常を、どうでもいいところに過剰にエネルギーを注ぐ「くだらなさ」で、最高に愛おしい瞬間に織り上げた。
2018年
佐藤佐吉大演劇祭参加作品in北区2018
すこやかクラブ公演
「逃げる男」
王子スタジオ1
演出、構成、振付・うえもとしほ
出演、振付・向原徹、中村理、加藤律、市松
photo by bozzo
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