2015年11月に上演した『第4の男』。
それによせて、リクウズルーム主宰の佐々木透氏より寄稿文をいただきました。
ありがとうございます!
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うえもとしほは、現代の天才バカボン。だと思う。ということは、赤塚不二夫であると同義になる。うらやましい。人を笑わせるというのは、知性がなければ達せられない。その知性というのは、こと演劇においては《知識》として幅を利かせている事が少なくない。だが、うえもとさん率いるすこやかクラブには、そういった頭の良さ が嫌味として鼻につくようなことがまったくないのだ。この感動はどこから来るのか。思い当たるとすれば身体だ。そう、すこやかクラブはまず身体なのだ。人間存在のちっぽけさを最初に提示してくれる。そして、この登場人物たちは、皆さんもよくご存知のそこらへんにいる何の変哲もない人たちなんですよーと、僕たちを諭し、巧みに近づいてくる。十分に僕たちを登場人物たちと同じ目線に惹きつけ、機をみて、狙い澄まし、アントニオ猪木ばりの張り手を食らわすッ! 実に景気よく観る者を裏切ってくれるのだ。すこやかクラブの世界は、日常風景を身に纏っておきながら荒唐無稽(バカ)を繰り広げている。それはまるでバカボンのパパが、目の繋がった警官に銃で撃ちまくられながら追い回される1シーンのように躍動的で自由な世界だ。ありそうで、絶対にあり得ない。しかし、ひとたび、すこやかクラブを体感した者は誰しもこんな感動を抱くのではないだろうか「これで、いいのだ」と。 佐々木透 リクウズルーム主宰
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リクウズルーム http://reqoo-zoo-room.jp/